2018年9月28日(金)
10月18日(木)にPS4とSteamにて、『END OF ETERNITY 4K/HD EDITION』が発売となります。本作はセガゲームスより2010年1月28日に発売されたRPGタイトルで、約8年の時をへて4K/HD解像度対応のリマスター版としてよみがえります。
発売に先駆けて本作のレビューをいち早く掲載。ほかのRPGとはひと味もふた味も違う『END OF ETERNITY』の魅力を感じてください。
なお、10月2日から17日の期間に予約することで、10%オフでの購入が可能です。本記事を読んで興味がわいたら、ぜひこの期間に予約して本作をゲットしましょう!
本作は、さまざまな新機軸のゲームを作り出してきたトライエースによる、独自の世界観と個性的すぎるバトルシステムを持ったRPGです。本来、本作の特筆すべき特徴といえば、たくさんのシステムが積み重なり、芸術的にまで絡み合ったバトルシステムになるとは思うのですが、ちょっとこれは説明が難しい。ここの文量ではとても説明しきれないし、そもそも文章で解説すればするほど何がおもしろいのかわからなくなるからです。
しかしそれでも、なぜかおもしろいのです。このあたりは実際にプレイして、感覚で理解してもらうしかないのであえて書きません。ただ1ついえることは、そのおもしろさの要因の1つに、主人公たち(ゼファー、ヴァシュロン、リーンベル)の戦闘での動きとセリフがあることだけは間違いありません。今回はその部分をクローズアップしていきます。
まず本作の戦闘では、とにかくキャラクターが動き回ります。その動きが尋常ではなく、回転しながら銃を乱射したり、ジャンプしながら身体をひねったりと、とにかく自由。そしてこのときのセリフも、独自のセンスを持ったものばかりです。少し例を出しましょう。
「てめぇは自分の血だまりで泳いでろ!」
「泥でも舐めてろ!」
「俺の銃弾は地獄への片道切符!」
「あなたが倒れるまで! 私は止めない!」
「お前にとって、最悪の結末だ!!」
などなど、すべてが名セリフかと思うくらい、記憶に残るトリガーハッピーなセリフを叫びまくるのです。へんな動きとハイテンションなセリフを聞いていると、脳内麻薬がドバドバあふれ、こちらのテンションも上がっていくというもの。さらに、主人公たちだけでなく、序盤に出てくるザコキャラクターでさえも負けじとハイテンションです。
「金を置いて、さっさと失せろ!」
「死んだら骨までしゃぶってやるぜ!」
「ここでは強さが正義なんだよ!」
というように、主人公たちに負けない激しい言葉を叫びまくり、敵味方の絶叫が混じりあう阿鼻叫喚(?)のハーモニーが、妙な中毒性を生み出してくれるのです。本作をプレイしてから、しばらくの間普通のRPGの戦闘が物足りなく感じるほどでした。
もちろん、システムを理解してしっかりコンボを決めていけばこそなのですが、この動きやセリフをもっと見たいと思う気持ちが、より華麗に勝ちたい、もっと戦闘を理解したいという気持ちになっていくことは確かです。加えて、主人公3人が織りなすスタイリッシュなセリフの応酬は、イベントなどでの掛け合いでも発揮されます。それはときにコントのようでもあり、ドツキ漫才のようにも見えますが、そのセリフの応酬が、とにかく気持ちよいのです。
そんなキャラクターの魅力だけでもお腹一杯の本作ですが、没入感のある世界観も魅力の1つだと思っています。物語の舞台になるのは、遠い未来の地球。人々は、天頂に向かってそびえ立つ巨大な機械“バーゼル”の中でしか生き永らえないという状況です。この機械はタワー型になっており、上層は支配者階級により管理され、下層では機械の修理もままならずスラム化しています。
そして天頂では“ゼニス”と呼ばる存在が、文字どおり人の命を管理しているのです。主人公たち3人は、第4層のエベルシティで生きる備兵で、さまざまな仕事を請け負ううち、この“バーゼル”に隠された秘密に迫っていくことになります。
タワー1つが世界のすべてなので狭く感じますが、その背景に込められた設定がとにかく緻密で、物語の背後を知りたいという欲求を強く感じました。また、世界の状況はかなり深刻ですが、物語はそれを感じさせないパワーと勢いで怒涛(どとう)の展開を見せます。多くは語られず、背景は行間を読みとるしかない面もありますが、そのあたりのバランス感覚も絶妙でした。
さて、バトルシステムの説明はあきらめましたが、もう1つ、システム的な魅力として、ワールドマップの探索があります。これもまた説明は難しいのですが、ワールドマップはボードゲームのようなヘックス(六角形)で構成され、移動には、隣接するヘックスにエナジーヘキサというアイテムを設置することで道を作っていく必要があります。この道を作る作業が、かなり斬新でおもしろい! 特定の条件を満たすことでさまざまな効果を発揮する施設の存在も絡み合い、パズル的なおもしろさを味わえます。
これは、あまりにゲームに寄ったシステムのため、世界観のイメージを損なってしまうという欠点もありましたが、それでもゲーム性において、とても重要な要素だったように思えます。
と、語りだしたら止まらない本作ですが、約8年の時を経た今年、4K/HDリマスターでよみがえることになりました。元々敗退的な美しさのあるグラフィックでしたが、より綺麗になり、バトルでの動きの派手さも一段と上がっています。未プレイの人はもちろん、プレイ済みの人もあらためて、より美しくなった主人公たち3人の生き様に触れてみてください。いろいろな面で、きっと衝撃を受けるはずです。
(C)SEGA/tri-Ace Inc.
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